近年、円安や物価の上昇、賃金の停滞などを背景に、日本を出て海外でお金を稼ぐ通称「出稼ぎ日本人」が急増しています。
この記事では、出稼ぎ日本人の実態や稼げる国、出稼ぎをする際の注意点について解説していきます。
「将来海外で働きたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
出稼ぎ日本人とは?
「出稼ぎ日本人」とは、日本国外で働くことで高収入を得る日本人のことです。
彼らは日本での生活費や収入の問題、または個人的な好奇心や経験を求めて海外へチャレンジします。
円安や物価の影響もあり、日本で働くよりも多くの収入を得られるチャンスがあります。また、金銭面以外でも語学力が磨けたり海外の異なる文化圏での生活ができるといったメリットもあります。
日本人が出稼ぎする3つの理由
日本人が出稼ぎをする理由は人によってさまざまですが、多くの人に共通する理由を3つ紹介します。
円安で稼ぎやすいため
日本は2022年頃から円安が続いており、2024年4月には1ドル160円を記録しました。2024年9月現在は1ドル143円まで下がりましたが、依然として円安の傾向にあります。
円安になると、海外で稼いだ通貨を日本円に換算した際に、より多くの日本円を得ることができます。つまり、海外で働いた方がお得な状況なのです。
日本の最低賃金が上がらないため
日本の最低賃金がなかなか上がらないことも、日本人が出稼ぎをする大きな理由です。
世界各国が経済成長に伴い賃金が上昇する中で、日本の実質賃金は過去30年間でわずか0.1%しか増加していません。これは、G7諸国の中でも下から5番目という非常に低い水準です。
2024年9月時点で、日本の最低賃金の平均は1,054円です。一方、出稼ぎ先として人気のオーストラリアの最低賃金は24.10オーストラリアドルで、これは日本円で約2,506円に相当します。
週5日、1日8時間を最低賃金で働いた場合、日本とオーストラリアでは次のような差が生じます。
日本:1,054円×8時間×5日×4週=168,640円
オーストラリア:2,500円×8時間×5日×4週=400,000円
同じ労働をするのであれば、最低賃金の高いオーストラリアで働いた方が魅力的に思えるでしょう。
日本の労働環境に不満があるため
日本の労働環境に対する不満から、海外に出稼ぎをする若者も多いです。日本は、長時間労働が一般的とされる企業文化が根付いています。残業が多く、ワークライフバランスが取りづらい環境に不満を感じる人が多いです。
また、年功序列の文化やパワハラなどの問題も一部の企業ではあり、若い世代にとって働きにくいと感じる要因となっています。
出稼ぎ日本人が活用している制度「ワーキングホリデー」とは
海外で出稼ぎをする場合、ワーキングホリデー制度(通称:ワーホリ)を活用するのが一般的です。ワーキングホリデー制度は、18歳以上30歳未満の方を対象とした、自由度の高い海外留学を提供する制度です。
このプログラムは、日本とその関連国との異文化交流と相互理解を深めるために開発されました。相手国によって規定は異なりますが、英語学習、就労、アルバイトなど、さまざまな可能性があります。
海外経験者・初心者を問わず参加できるプログラムであり、現地に滞在しながら働けることが最大の魅力です。
出稼ぎ日本人は海外でも通用する?
海外でのワーホリや仕事を通じて感じることは、日本人のスペックは非常に高いということです。
海外では、日本と比べて時間の流れがゆっくりと感じることがあるかもしれません。日本では電車が1分単位で正確に来るように時間に正確な文化がありますが、世界規模で見るとそうではありません。
海外に行くと、時間や約束にルーズなケースが多く、日本で当たり前とされていることが凄いことであると評価されることも多々あります。
一例をあげると、アメリカで寿司職人として働く田中康博さんは、日本時代は300万円だった年収が海外へ来てから8,000万円までアップしました。
これほどの年収アップは極端な例ですが、この事例から学び活かすことはできます。
寿司職人のスキルは日本国内では年収300万円の価値でしたが、海外だとその金銭的価値が何倍にも跳ね上がります。
国内ではそこまで希少ではない能力も、その能力が希少とされる地域へ行くと、より高い対価でサービスを提供することが可能となるのです。
自分の現時点の能力にそれほど自信がない場合でも、その能力が希少とされる場所を見つけることで道が開けるかもしれません。
オーストラリア出稼ぎの実体験
本ブログを運営しているセブリッジの代表山岡は、オーストラリアで7ヶ月間ワーキングホリデーをした経験があります。
ワーホリに挑戦したときの英語レベル
- 自ら英語環境に飛び込む自信少しあり
- フィリピン人講師の会話の60%は理解できる
- 短い途切れ途切れの文章で日記や小論文が書けるように
- 英語への恐怖心が薄れ、英語学習が楽しく感じている
私は、フィリピンのセブ島で2ヶ月間留学をした後、オーストラリアのシドニーでワーホリに挑戦しました。
到着して現地オーストラリア人の英語を聞いたときは、「え?それって英語?」ってくらい何も聞き取れなかったです。
英語が話せないながらもローカルレストランで働いていた時、2歳ぐらいの子供に僕の英語を真似されバカにされる事ことも。子供の母親は「こらっそんなこと言ったらダメ!」みたいなやり取りをただ呆然と聞くだけしかできませんでした。
いくつかの仕事を経験しましたが、日本人経営のレストランよりも、ローカルジョブという日本人が少ない職場の方が給料がよかったです。
給料の違い
- 日本人経営レストラン:最低時給21.38AU$
- ファーム(農業):時給23AU$~
- ローカルジョブ:23AU$~+祝日は時給2倍
※キャッシュジョブ:11AU$~18AU$
キャッシュジョブとは
法律を守らない雇用主で働く職場です。最低賃金を守らず違法な安い賃金で雇用者を働かせる人もいます。記録が残らないように、現金を手渡しで払うので「キャッシュジョブ」と呼ばれます。特に、アジア人(日本・韓国)が経営する飲食店でその傾向が目立ちます。
私の経験では、英語力が低い日本人の6割以上はキャッシュジョブで働いていました。主な仕事内容は、日本食レストランでの皿洗い、キッチン、ホール、旅行会社でツアー案内業務など、英語を使わないものが多いです。
知り合い(TOEIC800点所持)はカジノで職を見つけ、時給で25AU$以上+祝日は2倍の時給50AU$でした。
実際に私が7ヶ月間のワーホリで稼いだ職種は以下の通りです。7ヶ月間で合計128万円を稼ぎました。
働いていた職種
- キャッシュジョブ(時給12AU$)
- 日本人系レストラン(時給21AU$)
- ローカルジョブ(時給22AU$)
働き始めは、面接を受ける英語力がなかったので泣く泣くキャッシュジョブを選びましたが、現地で英語を猛勉強し、最終的にはローカルジョブで働くことができました。
日本人が出稼ぎをするメリット
日本人が出稼ぎをすると、以下のような経験を得られることがメリットです。
- 海外での職務経験
- 海外での生活経験
- 出稼ぎをしたという挑戦心
これらの経験は、日本に戻ってきた時に圧倒的な個性となります。
挑戦心を持って実際に海外で仕事をしたという経験は、グローバル企業に関わらず企業から見ると魅力的です。
「将来的には日本に戻りたい!」と志している方も、一時期の経験として出稼ぎをすることは1つの選択肢になるかもしれません。
日本人が出稼ぎをする際のデメリット・注意点
日本人が出稼ぎをする際のデメリット・注意点は、出稼ぎ日本人が増えると仕事を獲得するのが難しくなることです。
仕事を獲得するためには、「語学力」「情報収集力」「職務経歴」など様々な能力やステータスが求められます。
人気があるからといって必ずしもすべての人が成功するとは限らないため、出稼ぎに挑戦したいと思った人も一度冷静に自分の状況や能力を整理しましょう。
日本人が稼げる国3選
最後に、出稼ぎ日本人におすすめの国を3つ紹介します。出稼ぎする国選びの参考にしてみてください。
オーストラリア
給与水準の高いオーストラリアは、出稼ぎ日本人におすすめの国です。最低賃金は年々上昇しており、2024年9月時点では約2,500円と日本の2倍以上です。また、土日祝日は時給が1.5倍〜2倍になるため、工夫次第で大きく稼ぐことができます。
通常、ワーキングホリデーは1年間と期間が決まっています。しかし、オーストラリアはセカンドワーホリ・サードワーホリビザの取得が認められており、最長3年まで滞在できるのです。
これらの理由から、オーストラリアには出稼ぎをしている日本人がすでに多くいます。
ニュージーランド
ニュージーランドも給与水準が高いことから、出稼ぎ日本人におすすめです。2024年9月時点では23.15ニュージーランドドルであり、日本円に換算すると約2,250円となります。
ニュージーランドは自然が豊かで、農業が盛んな国です。農業関連の仕事であれば、接客を必要としないため、英語に自信がなくても働くことができます。
カナダ
カナダは日本人留学生からも人気のある国です。広大な自然の中で、のびのびと過ごすことができます。また、州によってはアメリカに近いため、気軽に旅行や買い物に行くことができます。
カナダの最低賃金は州によって異なり、低い州で14カナダドル(約1,600円)、高い州で19ドル(約2,000円)です。最低賃金の高い州を選べば、ニュージーランドと同等の賃金を得ることができるでしょう。
まとめ
この記事では、話題になっている出稼ぎ日本人の実態や稼げる国、出稼ぎをする際の注意点などを紹介しました。
「海外で働くことに興味がある」「学生のうちに留学やワーホリを経験しておきたい!」という方の参考になれば幸いです。
せっかくの人生、日本に留まらず世界に視野を向けて働く場所を考えてみてはいかがでしょうか。